口から出まかせ日記【表】

もうすぐゴールデンウィークですね(早)

家の押し入れが武器庫

(今年の3月に一度投稿したものを修正しました。押し入れを開くたびにいつもため息が出ます。ひとり刀狩り状態です。そのうちメルカリかヤフオクにでも売ろうかと考えつつ、何年も経っています。)

 

★★★

 

「押し入れを片付けなさい」と母親に命令されたので、少しずつ牙城を崩すようにして、片づけを続けているのです。しかし、なんでこんな小さい家に、これほど多くのモノが眠っているのかよくわかりません。

 

数年前、誰も住む人間がいなくなった祖父母の家を片づけた時に、ほとんどのモノは捨てたり売ったり寄付したりして処分したのですが、それでもまだ残っているモノがあります。その中には処分に困るものもあり、例えばこのような、

 

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武器類。木刀と模造刀、それから模造槍?みたいな一品。これ以外にも木製のなぎなた、プラスチックの棍棒やヌンチャク等がある。真剣も一本あります。そうですね、一個小隊にいきわたるほどの武装が揃っています。

 

私の祖父は生前、居合道を習っており、だから木刀や模造刀があるのは当たり前といえば当たり前なのですが、どういうわけか必要以上に次々と買い込む癖がありました。なじみの武道具屋さんで、希少な素材で作った木刀や、中東の曲剣のレプリカを勧められると、祖父の心にともしびが灯り、買ってしまうようでした。

 

後々、私も居合道をやるようになって、木刀とか模造刀は結果的に役には立ちましたが、祖父の武器収集は続き、結局祖母に、大地が震動するほどこっぴどく怒られてからは止まりました。

 

祖父は何を考えて武器を集めていたのか。単純に好きでもあるだろうし、同じ種類の木刀を何本も購入しているので、自分で道場を開くつもりだったのかもしれません。ただ、私が思うに、祖父は人に何かを正確に教えることはできない人でした。もちろん祖父なりには教えられるでしょう。

 

しかし、居合道の有段者となれば、真剣を用いて、普段の稽古から公式での演武まで行うわけだし、また礼儀作法の精度や、適切な真剣の管理方法など、非常に細やかな配慮が必要です。でも祖父は、私がいくら思い出しても、そういう配慮はできない人でした。稽古の後、真剣に、専用の刀油ではなく、自転車のチェーンなんかに使うさび止め用のスプレーを振りかけていました。確かに錆びないけれど、そういうことではないのです。

 

祖父は亡くなり、私もいまや居合道の稽古には長らく参加していません。主を失った武器が、ただそこに残されている。不憫なので、思い出しては祖父の使っていた木刀を振ったりしています。朝一番で100回くらい素振りをすると爽快ですよ。体の隅々にまで、静かな力がみなぎってくる感じです。そのあとで、手の平にはいまだに祖父の体臭が仄かに香るのです。