口から出まかせ日記【表】

もうすぐゴールデンウィークですね(早)

無職の夏休み②

大船渡の山間で一夜を過ごした感想ですが、はっきりいって、快適です。良く眠れました。これが私の実家だと、だいたい暑さで夜中の2時頃に一度は起きます。エアコンをつけているのに関わらずです。それがここだと熟睡できる。熟睡できそうな環境とは思えないのに(失礼)。夜中に自然と涼しくなるため、それに合わせて体も眠る準備が整いやすいのかもしれません。

 

あと、蚊がおとなしい。夜中、部屋に蚊が入ってくると気になって眠れなくなりますが、このあたりに棲む蚊は部屋の中に入ってきません。後で住人の方に聞いたところ、このあたりは「ヤブカ」が多いそうです。ヤブカは森の中で暮らしており、森の外に出てしまうと、飛行能力が低下してしまうのだそう。部屋に入ってこないのも、能力的な限界があるからでしょうか。

 

この日は天気もいいので、観光らしい観光をするかと思い、バイクを出しました。まず向かったのは「碁石(ごいし)海岸」。大船渡市の南に、にょきっと突き出した岬があり、そこの景色が「やばい」との評判らしく、ほんまかいなと思って行ってみました。結果、「やばい」しか言えない頭の悪い人になってしまいました。

 

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画像ではあまり伝わりませんが、この日は波がとても荒く、海流の動きが、攻撃的な意識を持った生き物に感じられました。大量の海水がひたすら岩盤に打ち付けられる、その途方もない繰り返しのエネルギーに圧倒されます。こんなに凄まじい景色が見れるというのに、私のほかに人がいません。完全独占です。なんて贅沢なのでしょう。時間を忘れて堪能しました。

 

その後、バイクを走らせて陸前高田までやってきました。目的は、あの有名な「奇跡の一本松」を見るためです。「奇跡の一本松駅」というバスの停留所兼、仮設の道の駅のような場所にバイクを置き、少し歩きました。周りを見渡すと、どこもかしこも工事中です。気が遠くなるほどに広大な工事現場です。

 

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「奇跡の一本松」を見て、私は立ちすくむしかなかったです。自然の恐ろしさ、不可思議さ、強さを示す象徴という、宿命的なものを背負っている松ですが、素直な実情としては、他の仲間が一本もいなくなってしまった、ただの松なのです。

 

感想というより、感情的に、寂しくなりました。眺めている自分が、残された一本の松になったような心地になるからです。他の仲間がすっかりいなくなってしまったけれど、完全にひとりぼっちというわけではない。自分とは違う「別の生き物」が、たくさん見に来てくれるからです。でもそれは、ひとりぼっちではないとはいえ、すさまじい孤独でしょう。

 

生き物は、まったく同じ生き物同士の共感の中で生きることこそ、幸不幸を別にして、ふさわしい生き方だと感じます。でもこの松は、まるでふさわしくない感じで、たった一本で立っている。眺めているこちらは、松とは違う生き物であり、もちろん松を見ていろいろと考えたりすることはできるけれど、松のほんとうの気持ちは分からない。そんな距離感を、この松の前に立つと考えさせられる。

 

その日の夕方は、地元のスーパーの品ぞろえを眺め、海も近いので寿司を買って帰りました。今の時期は、食感の柔らかい魚が旬なんでしょうか。ふにゃ~とした、でもちゃんと新鮮なネタを堪能しましたよ。画像無し(*´Д)