口から出まかせ日記【表】

もうすぐゴールデンウィークですね(早)

高低差から逃れたい。

(今年の6月に一度投稿したものを再編集しました。どういうわけかこれまで、高台にある住居に縁があり、普段の生活において微妙な苦労が絶えません。いつかはユニクロや牛丼屋が水平方向に存在する平坦な土地に住みたい。高層マンションなんてなにが良いのかさっぱり分からない)

 

★★★

 

私の住んでいる場所は街の郊外で、けっこう標高の高いところにあります。近所にはスーパーとホームセンター、コンビニぐらいしかなく、生活の欲求を満足させるには、街へ降りていかないといけません。

 

車やバイクがあればともかく、無い人はバスや自転車を使っています。街の中心部まで行くのに、バスで片道450円かかります。特に学生は通学費節約のため自転車で通う子が多く、かつて私もそのひとりでした。行きは坂道を降りていくだけなので快適。逆に帰りは3キロくらい坂道を延々と登らなければならず、「六根清浄、六根清浄」と唱えながら、通学もまた修行と心得て、耐えていたのです。

 

心の奥底では、いつかはこんな高低差地獄から解放されるぞ、平坦な土地で悠々と生活するぞ、という気持ちが燃え盛っており、それが県外の大学を受験する意志へと、昇華されたかどうか知りませんが、とりあえずは受験に合格。晴れて東北随一の大都会、仙台で暮らすことになったのです。

 

ところが、いったいなにをどう間違ったのか、またまた高低差のある場所に暮らすことになってしまいました。しかも、まだ地元の坂道など可愛いと思えるほどの急こう配を、日々、命がけで下ったり上ったりしなければならず、自分の意識の甘さを痛感することになるのです。

 

f:id:star-watch0705:20190822163404j:plain

高低差に苛まれているのは私だけではなく、友人たちも同様でした。なぜかみんな、高台に住んでいる場合が多く、家に遊びに行くときなど、またいちいち坂を上る必要が出てくる。当時、若輩者の持つメランコリーな気分と合わさり、なんだか世界の中で自分ひとりだけが損しているような気分になることもあり、「俺の人生は坂ばかりじゃあ」などとほざきながら酒を飲み、泣いたり笑ったりして暮らしていたのです。

 

その後、地元に戻って働き始めたのですが、ここでもまた高低差の魔物に出くわしてしまいます。私が働いていた職場がビルのてっぺん近くにあり、しかもエレベーターの調子が悪くなることが多く、コピー用紙の束を背負い、息を切らせながら上ったり下ったりする羽目になりました。もはや激しい気分が湧き上がることもなく、粛々と受け入れていました。

 

その後、職場が移転したりだとか、そもそも事業が消滅するために、事業所自体が片付けられてしまったりなど歴史の流れに翻弄され、それからふと思いついて介護職に就いてみたり。で、どういうわけなのか、現在は無職です。

 

今後、地元を離れて生活をすることを考えていますが、今度こそは日常生活における高低差の魔の手から逃れたいと思っています。凹凸のない、どこまでも平坦な道の先に、スーパー、ドラッグストア、コンビニ、酒屋さん、漫画喫茶、スーパー銭湯、ゲーセン、ユニクロクリーニング屋、牛丼屋、ラーメン屋がある。人生におけるそんな当たり前の幸せを享受したいのです。山の民はもう嫌だ。ただの平民になりたい。