無職だけど根がオシャンティーな為、時々ひとりでカフェにでも行きたくなる。窓際の席から街の風景を見下ろしつつ、ブレンドコーヒーを啜り、スコーンをもしゃもしゃ食べながら、音もなく屁をこくのは最高の気分だ。
しかし如何せん、微妙に金がかかる。ちゃんとした喫茶店はコーヒー代だけでも500円オーバーは普通。他に何か頼めば1000円は軽く超える。マックの100円コーヒーで粘ろうにも、ほぼ店内を占領する、半分獣に近いような高校生らの性欲全開の会話を聞いていると、「はやく、にんげんになりたい!!」という感情が爆発して早々に店を這い出すことになる。
なるべく金を使わず、優雅なコーヒータイムを満喫できんかなあと家の中をぐるぐる歩き回っていると、テーブルの上に誰が置いたのかしらん、「ランチパック」が無防備に晒してあった。
それを見て急に頭のシナプスが弾けた。「そや、家でカフェやったらええがな!!」
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ただランチパックをそのまま袋から出して頬張りつつ、コーヒーを啜るのもあまり芸がない。ここはひとつ工夫をすることにした。
ランチパックをノンフライヤーの容器に放り込み、200℃で6分ほど加熱した。出してみると、ちょうど良い感じの焼け跡がついた。ノンフライヤーでなくても、油をひかずにフライパンで焼いたり、トースターを使うのもいいと思う。
さて、焼けたランチパックを皿に載せてみると、見栄えが悪いわけじゃないけれど、私のオシャンティーな精神を満足させるには何か足りない。いったい何が足りないんだ……うーむ。台所をぐるぐる回って、調味料の並ぶ棚を眺めていたら、再びシナプスに火花が散った。「バジルぶっかけりゃええやんけ」
ということで、バジルをぶっかけじゃなく適度に振りかけることで、ちょうど良い閑雅な雰囲気に仕上がった。コーヒーもカップに注いで準備万端。あとは手を合わせて「いただきます」を言うだけ、と思ったのだが……。
そう、まだ何かが足りない気がする。いったい何が足りないんだ、うーむ。コーヒーが冷める緊迫感を感じつつ、体を折り曲げて考えていると、みたびシナプスが火を噴いた。「総合演出が足りないんやな!!」
そう。現代は「見映え」戦国時代であることを忘れていた。私もブロガーの端くれ。人様に見せる画像であるのならばこそ、「総合演出」としての「見映え」の追求を怠ってはならぬ。といっても、過剰でも過小でもいけない。ちょうど良いバランスを目指さなけれならぬ。
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ということで、なにか演出として引き立つようなものが無いかと見回してみると、そう、我が家に代々伝わるヘンなモノがいっぱいあるではないか。これらを効果的に設置することで、私は私の「映え」を表現するとしよう。
どうだろう。アイテムの配置には非常に気を使った。巷では、いかにもどうだと言わんばかりの、撮影者の意図がむき出しになった画像で満ち溢れているが、それは私の目指す「見映え」ではない。あくまでも生活の自然な一風景を撮影したいと考えたので、配置に関しても、まったく違和感が無いような工夫を凝らした。
また時代背景もぼかしたいと思ったので、画像をフィルターで加工。ハイライトを調整した。個人的には大満足だ。いい加減にしないとコーヒーが冷める。このあと、美味しくいただきました。
追記:ランチパックのピーナッツ味にバジルは全く合わない。