口から出まかせ日記【表】

もうすぐゴールデンウィークですね(早)

二十歳の酒。

週のお題「二十歳」

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ということですが、昨日、街の酒屋さんに行ってみたら、晴れ着姿の若い人たちを見かけました。成人式が終わったあと、お酒を買いに来たのでしょう。どこか店を予約するとかじゃなく、誰かの家でパーティーするみたいな感じでしょうか。

 

見ていて微笑ましかったです。酒を解禁してたった数か月くらいの「先輩」が、まだ酒を買ったことない「後輩」にレクチャーをする。「それは強いからやめとけ」「それ甘くてうまいよ」などなど。チューハイコーナーの前で、それはそれは真剣に品定めしてるのです。

 

中にはちょっと背伸びをして、日本酒とかブランデーの瓶に手を伸ばす男の子もいます。でも、まだ自分には早いと感じたのか、元の場所に戻したり、また手に取ってみたり。見ていて、「思い切って買っちゃいなさいよ!!」と声をかけたくなる。

 

男子のそんな姿を横目に、振袖姿の女子が手慣れた様子で、堂々と白ワインと芋焼酎の瓶をカウンターにもっていく。おもわず、「やるなぁ。たいしたもんだ」と素で声をあげてしまいましたよ。

 

酒屋の帰りに、「自分は二十歳の頃、何を飲んでいたっけ」と考えました。思い出してみると、ロクな酒を飲んでいませんね。二十歳になったばかりの頃って、酒の質がどうこういうより、「酔う」ことが新鮮そのものだったので、手っ取り早く酔えればそれでいいという感覚でした。

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だから、ちょうど100円くらいの、安いノーブランドのチューハイを買って毎晩飲むわけです。ひとりで飲むこともあれば、友達と飲むこともある。夏に墓場で飲んだこともありますね。別に墓に供えてあるカップ大関を盗み飲みしたとかじゃないですよ笑。ちゃんと持ち寄って飲んだわけですが、目的がよく分かりません。お墓だから涼しいと考えたのかな。めちゃくちゃ蚊に刺されましたけどね。

 

「つまみ」という概念もまだ育っておらず、お菓子で飲んでました。一応、塩気があるものを選んではいるんですが、スナック菓子が多かった。ありゃ、つまみとしてはあんまり向いてません。ビールとポテトチップスなんて、お腹がすぐ膨れてしまう。

 

ビール自体、もともと保存が効くパンとしてエジプトでつくられたもの。炭水化物×炭水化物。最悪です。アメリカ人とかドイツ人が、山盛りのポテトをつまみにビールをガロン単位で飲んでたりしますが、日本人にあの飲み方は到底あっていません。よっちゃんイカや、梅昆布をおとなしく摘まみつつ、ちびちびと少量の酒を飲むのが日本人としての矜持ですよ(?)。

 

音楽も酔うための重要なファクターでした。当時、私は洋楽にずっぽりとハマり、「邦楽なんてダセえよな」と勝手に見下していた哀れな若者だったのです。パンクやメタル系の曲が好きで聴いてました。安いヘッドフォンで大音量で曲を流しつつ、酒を飲んで頭をヘッドバンキング(激しく振る)。こうすると、早く酔いが回ります。

 


Alice In Chains - Dam That River

 

こんな曲を聴いていました。はっきりいって馬鹿でした。あと、どうしても内容が頭に入らない難解な本を、酒を飲んでから読むと、すっと頭に入るような気がして、よくやっていたのですが、今現在、ほとんど内容を覚えていません。知識は全ておしっこと一緒に流れてしまったのです。惜しいことを致しました。

 

そんなふうに、20代の前半は安酒とロックとよっちゃんイカに費やされてしまったのですが、酒に対する意識が変わったのが、24歳くらいでしょう。ある酒の席で飲んだ日本酒が、とても美味しかったのです。中国の伝説で「甘露」と呼ばれる、天から降る甘い露というものがありますが、それが顕現したかというような味でした。腐った舌がすっかり洗われた体験でした。

 

飲んだのは、山形の高木酒造の「十四代」と、青森の西田酒造の「田酒」の純米大吟醸であったと思います。後々、再飲しましたが、「確かにこの味だ」と思う一方で、はじめて飲んだときほどの感動はありませんでした。ただ、どちらも「お酒ってこんなにおいしいものなんだ」という意識を持つきっかけになった酒であり、畏敬の念を持っています。

 

現在、自分でチューハイ等は買いません。たまに母親が珍しい味のチューハイを買ってくるので(そのくせ本人はアサヒスーパードライしか飲まない)、飲んで感想を言う事はあります。だいたい日本酒かワインを買って飲んでいます。日本酒は地酒が多いです。ワインは国内外、白赤ロゼ問わず飲みます。焼酎とかウィスキーも飲むときは飲みますが、日常的ではないですね。

 

もう、酒を飲みながら音楽も聴きませんし、頭も激しく振りません。そんなに量も飲みません。静かに飲んで、ちょっとほろ酔いくらいでやめます。酒との付き合い方が優しくなりました。そんな付き合い方を教えてくれたのも酒なのです。