口から出まかせ日記【表】

家にあるホッカイロすべて有効期限切れ。

意外な場所でコーヒーが美味しかったりする。

ー太郎になってみると、働いていた頃に何でもないことが、実は贅沢だったんだなと思うことがけっこうあります。そのひとつが喫茶店に入ること。喫茶店でコーヒーとケーキのセットを頼んで、千円近く払ったりとかね。ちょいとオシャンティーな気分に浸りたいだけで、野口英世が一枚消えるのですよ。

 

私の現在の身分では、あんまりそういうことはできません。せいぜい水筒に淹れた熱いほうじ茶を、なんだか意味不明な荒れ方をした公園の隅にあるベンチで啜りながら、神妙な気持ちに浸ったりしているわけです。なるべくお金を使わない行動が身についてしまった今では、実に贅沢なことだと思います。

 

そうそう、喫茶店といえば、もちろん美味しいコーヒーを求めにいくわけです。それで、いかにも美味しいコーヒーを出してくれそうな店に行ってみると。こじんまりとしたカウンターがあり、コーヒーを抽出するサイフォンが並んでおり、丁寧に顎髭を手入れした寡黙な店主がいる。みたいなね笑。私も背伸びがしたくて、昔はよくそういう店に入ったりしました。

 

で、試しに「店主のおススメブレンド」みたいなのを頼んでみる。そしたら、30分以上時間をかけて、コーヒー豆を炙ったり挽いたりしつつ、だんだんいい香りもしてきて期待が高まる。で、ようやく、ちっこいカップに注がれたコーヒーが出される。まず、香りを嗅いでみて、それから恐る恐るすすってみると…………。

 

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これ、苦くね? この苦さはなんか変だな。鉄の錆びを溶かして飲んでるみたいだ。よく分からん果物が腐ったみたいな香りも後からやってくる。なんだこれはと思っていたら、頼んでもいないのに店主が勝手に講義を始める。「うちで使ってる豆はねぇ、グアテマラブエナビスタ農園の品種でねぇ、それをパルプドナチュラルでアナエロビックしてステンレスフィルターで、🦀🦐🐢🐄☀🚙✉🐻✈🚢🏰✡」

 

まあ、当時の私の口に合わなかっただけかもしれません。でも、いかにもな老舗の店で、「?」と思うようなコーヒーにあたることが、実際よくあったんですよ。喫茶店の経営はかなり難しいと聞くので、店が数十年も続くという事は、その店のコーヒーの味が支持されているからでしょうが。正直、思ってたほどでもないなぁ、ということがあるんですよね。ごめんなさい。誰に謝っているのかはよくわかりません。

 

かえって、まったく期待すらしていなかった店のコーヒーが、とても美味しくて忘れられない、という経験が多いです。そのへんの蕎麦屋に入って、不味くも美味くもない盛りそばを啜り、なんだか物足りない気がして、コーヒーを頼んで期待せず飲んだらすごく美味い、とか。通いつめていたごく普通の食堂で、いつもは頼んだりしないコーヒーを試してみたら凄くコクがあって感動した、とか。

 

不思議なことですが、「おいしいに決まってる」という感覚で店に行くと、案外、当てが外れたりするんでしょうね。期待を高めすぎて、想像の中でもうすでに味わっている感じで店に入り、実物に舌で触れたら、その想像とかけ離れたものだったりする。実際は美味いものなのに、自分の想像との差異があると、素直に美味いと感じられないというような。

 

単純に私の味覚が悪いっていうのも大いにあり得ると思うんですけど笑。でも、あの蕎麦屋で、あの定食屋で、あのカレー屋で、あの焼き鳥屋で。まるで期待せずに飲んだコーヒーが美味かった時の、「うま~い!!」とびっくりしたあの感覚。私は信用したいなぁと思っているのです。