仕事の帰りに、「ちょっと寄ってこう」みたいな気分になります。エッチな店に寄るわけじゃありません。行き先は図書館です。職場から歩いて10分ぐらいのとこに、ずいぶん年季の入った市立図書館があり、そこをブラブラして、本を借りたり借りなかったりします。コロナの影響もあって図書館の滞在時間は30分程度と決められており、呑気に長居しているお爺さんに、職員の人が申し訳なさそうに声を掛けたりするのを見かけます。
ところで、図書館の小説コーナーってだいたい、「あかさたな」の頭文字順に作家名とそれぞれの著作が並んでますが、眺めていると、自分にとって縁が深い所もあれば、まったくない所もあるわけですね。例えば「あ」の並びというのは、私にとって縁のある作家さんが多いです。芥川龍之介はもちろん、安倍公房はいるし、阿佐田哲也もいるし、荒俣宏さんなんかもいるしで、ここだけで一生安泰じゃね？ みたいなラインナップ。だけど、赤川次郎さんは全然読んだこと無いです。自分の周りでも読んでる人を見かけたことが無いな。
次に「か」の並びだと、開高健がいますね。小説より、エッセイとかの方が好きでした。『最後の晩餐』はボロボロになるまで読んだ。金原ひとみさんは、『アッシュベイビー』『蛇にピアス』を読んでぐったりしてしまい、それっきり。川上未映子さんは一時期ハマっており、『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』なんかを読んで、すげぇ、この人すげぇとひとりで興奮していたけれど、内容ははっきり言って覚えてません。というか、ここ20年くらいでデビューした純文学作家の本って、内容がどうこうというよりは、一時的なエネルギーとして記憶している面があると思う。
次に「さ」の並びを眺めると、なんか、ほとんど読んだことない作家ばっかりです。昔の作家だと里見弴ぐらいですか（彼の『文章の話』っていう本は、ブログ書いてるなら読んで損はないと思う）。現代作家だと佐伯一麦さん、桜木紫乃さんとか、知ってる人はいるけどまるでノータッチ。「た」に移ると、当たり前ですが高橋と田中が多いですね。高橋源一郎さんの『さようなら、ギャングたち』は昔、友達と回し読みをして、最終的にただの紙くずに成り果てました。田中慎弥さんはニート界の希望が形になったような人なので、今後も注目を続けたい。ああ、割と最近、酒を飲みながら、武田泰淳の『ひかりごけ』を読みました（人肉食の話です）。
次に「な」の頭文字を眺めると、やっぱり中島らもは思い出深い。一時期、憑りつかれたように読みました。『アマニタ・パンセリナ』（ドラッグ全般と、著者の生活雑記的な内容）が特に大好き。しかし、本人がとうに亡くなってから作品を後追いするのは、その人が生涯で残した成果が、目の前に壁になって迫ってくる感じなので、読みこなすのに体力も工夫もいる事なんだなって、最近になって実感し始めました。長野まゆみさんも大好き。『天体議会』『テレビジョンシティ・シティ』は、何度読んだことか。BL好きな人は押さえておきましょう笑。
「は」に移ると、花村萬月さんの小説はけっこう読んでます。ただ、彼の小説はなかなか他の人には勧めにくいです。犯罪をナチュラルに行える人しか出てこないし笑。原田マハさんは割と最近読み始めたんですが、いいですね。『楽園のカンヴァス』とか、『サロメ』とか、有名な絵画がモチーフになってる作品が多く、小説を楽しみつつ、洋画関連の知識もそこはかとなくインプットされていく感じ。本を読んで、自分になにかがちゃんと足されてる、と感じられるのは大事ですね。
次に「ま」ですが、この欄の作家さんとはめっちゃ縁があります。もうここだけで5万文字くらい軽く書けますが、とりあえず名前だけ書いてくと、町田康さんはもう中毒みたいに読み漁りましたし、舞城王太郎さん、万城目学さん、牧野修さん、松井雪子さん、丸谷才一とか、自分の読書の足跡がここだけ異様に濃ゆいのです。「や」に移ると、山口瞳の『人生作法入門』はよく読んだなぁと。山崎ナオコーラさんの本は、たまに借りてみて、なんか読み切れずに戻すみたいなのを繰り返してます。
「ら」は省略。「わ」はとにかく渡辺ばっかりですが、渡辺淳一が野口英世について書いた『遠き落日』（ほとんど英世が学費のためにカネ借りてる話）は面白く、財布から千円札を抜くたびに思い出します。綿矢りささんは二冊くらい読んだと思うんですが、あんまり覚えてません。綿矢りささんほどになると、自分が買わなくてもいつのまにか誰かが買っていて、家の本棚に入ってたりしませんか。『勝手にふるえてろ』は買った覚えもないけど、何故かうちの本棚にあります（しかも読んでない）。
おお。ずいぶん長くなってしまいました。今回は自分の読書歴をなんとなくまとめてみたいと思ったんですが、どううまくまとめていいか分からなかったんで、とりあえず「あかさたな」順で追っていきました。。じゃあ次回は「いきしちに」順でやるのかっていったら、やらないです。今回でいきなり最終回です。はい。
島田雅彦さんはイケメンだよな～やっぱ。
