口から出まかせ日記【表】

GWで浪費すると母の日にツケが回る。

正座が苦手。

 

れを書いてるちょうどいま、第72期王将戦7番勝負第二局をやっている最中で、藤井聡太王将と羽生善治九段がバチバチに向かい合ってるとこです。残念ながら地上波では中継してくれないんですよね。前回の第一局は最初から最後までユーチューブで生配信されましたが、今回は初手と封じ手開封の時間帯のみ生配信のようです。

 

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たまーに将棋の対決を眺めると、大変そうだなぁと思ったりします。何が大変かって「正座」が大変そう。もちろん棋士の間には盤上での勝負の感覚しかないでしょうが、傍からみると、なんだか「耐久正座対決」のようにも映ります。とはいえ、将棋対決の場では必ず正座をしないとダメってわけでもないようですね。


実際、勝負の最中に羽生さんもたまには胡坐をかいたりしてるし、藤井君にいたっては、その場を堂々と中座してしばらく帰ってこなかったりもするし笑。そのあたりをネットでちょっと調べてみたら、確かに対決の最中に足を崩すのも問題ないようです。ただ、正座の姿勢は「美風」、つまり「良い習わし」だということで重んじる人もいるらしく、年配の棋士ほどその傾向は強いようですね。


正座が大変そうだと思うのは、私がそもそも正座が苦手だからでしょう。そのわりに、やたらと昔から正座をさせられる人生でした。まだ自他の区別も付いてるか定かでない子供の頃に通わされた習字教室にて、正座をして足がしびれると、床をゴロゴロ転がりながら移動していたようです。しかも、他の人の書いた紙の上を転がり回って教室内に甚大な被害を与えたらしく、一カ月足らずで辞めさせられたという伝説が残っております。


 
飯坂温泉にある「旧堀切邸」の和室は美しい。

 

自分がいよいよ正座が苦手だと確信したのは、高校生の時に「居合道」という武道を始めたことからです。居合道では、正座をした状態から、腰に差している刀から刀身を抜いて相手に切りつける、という動きの型がけっこうたくさんあり、初心者はとにかくこれを練習します。練習場所は体育館で、床はよくあるフローリングですし、硬い材質に足の甲を押しつける感じになる。もちろん足は真冬でも素足です。


なにより嫌だったのが、硬い床に自分の甲を押し付けてる感触。ゴリゴリするじゃないですか。あれが生々しくて嫌だった。足の甲って皮膚のすぐ下に骨があって、その間に血管やら筋なんかが通ってる、パッと見ても生々しいところです。それに自分の全体重をかけて硬いものに押し付けているわけですから、どう考えたって体に悪い。すると、「自分の体に悪いことをわざわざしている」というイメージに思考が囚われやすくなる。


「ああ、今、自分の足の甲の血管やらなにやらが潰されてるんだなぁ。そして血流が狭くなってるんだなぁ」なんて想像すると、気持ちがムズムズしてきます。大げさかもしれないですが、閉所恐怖症的というのか。自分の体が狭いところに押し込められているだけではなく、体の一部が狭く押しつぶされている状態になっているのも、閉所恐怖的な感覚に近いものを感じるのかもしれない。それほどまでに苦手な正座でしたが、なんだかんだ場所を変え師匠を変えつつ、居合道は十年くらい続きました。


そして現在、ほぼほぼ正座の習慣がない生活をしています。このまえ、報恩講(浄土真宗の開祖、親鸞の命日にお寺で行う法要)のためにお寺に行ったんですが、今やお寺ですら正座をすることはなくなり、用意されていたパイプ椅子に座りながら住職の話を聴きました。一方、座布団に正座をして話を聴いている人もいましたね。それでいいと思うんですよ。それぞれが自分の感触に合った座り方を取り入れればいい。たかが座り方程度で我慢を忍ばなければならない文化からは、なるべく遠ざかりたいと思う私です。

 

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居合道における正座から始まる動きの型がよくまとまってる動画。