口から出まかせ日記【表】

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咀嚼はセンシティブ。

 

なみに私はどん兵衛派です(唐突)。確信しておりますが、個人のカップ麺の好み。大半は親からの遺伝です。どん兵衛派の私は、親がどん兵衛派だったからどん兵衛派になったのです。親が緑のたぬき派なら子も緑のたぬき派になる。明星一平ちゃん夜店の焼きそば派の子は、明星一平ちゃん夜店の焼きそば派の親をもつのです。うちの会社でサッポロ一番カップスターばかり食べている同僚がいますが、業の深さを感じざるを得ない。


それはいいとして、もうすっかり収束しましたが、こないだまでお祭り騒ぎだったCMがありましたね。

 

youtu.be

 

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私はこのCMを地上波でぜんぜん見かけず、SNSで初めてちゃんとみたんですけど、かなり咀嚼の表現にこだわってますよね。汁や麺を啜る描写、咀嚼音がリアルに再現してある。食べ物との距離感が生々しく、食事も生理現象なんだよなって気分にさせられる。かといって、別に文句を言いたくなるほどでもありません。


ところがどっこい。このあたりの描写が性的だのなんだのと捉えられて、ご存知の通りSNS上で賛否両論の嵐を引き起こしました。この騒ぎには「仕掛け人」がいるらしいという噂も聞きましたが、そもそも強い印象を人に与えなければ、盛り上がるなんてこともまずないわけです。じゃ、それはどのあたりかといったら、やっぱ「咀嚼」じゃないでしょうか。人の咀嚼に接近することで、さまざまな印象や感情を人に呼び起こさせる。それを思い知らされる現象だったのではないか、と。

 

 

 

ここから私の好みの話になりますが、映画や旅番組なんかの食事風景が好きです。ただ、正直そこまで人の咀嚼は主役じゃなくていいよなって思います。テーブルの上の美味しそうな料理が映しだされたら、すでに目の保養。それで私は大満足なんです。しかし、映像づくりにおける慣習か、それこそ人が麺を啜ったりしているところに、わざとらしく接近して映したりするわけですよね。

 

これも食べ方が綺麗な人なら感心しながら見れますが、残念ながらそうじゃない人の方が多いものです。食事の流れとして、人の咀嚼は必ず通る部分だから避けられないにしろ、そこに接近することでどんな印象を人に呼び起こすか、多少は想定してほしいものです。もちろん考えている人はいるんでしょうけど、いつもお決まりの画角だとか距離感で人の咀嚼を映す、作り手の「慣れ」を優先している感じがどうしてもありますね。


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文句ばかりじゃいけない。具体的に好きなもので語らねば。ということで、ちょっとベタですが、映画『パルプ・フィクション』の食事のシーンはどれも大好きです。食事風景はあくまでも舞台装置で、人間同士の会話の掛け合いが主役。シンプルで引き締まった構図ですね。別にこの雰囲気をカップ麺のCMに適用しろと言ってるわけじゃないんですよ笑。でも、新商品ならともかく、定番品であればこそ、生活感にベッタリ忖度しているだけじゃなく、そこから距離感をとった挑戦的でクールなCMもみてみたいものです。


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そういう意味では昔のカップヌードルのCMは抽象的でカッコよかったですね。