口から出まかせ日記【表】

もうすぐゴールデンウィークですね(早)

お墓の桜が一番良い。

 

かりやすいお花見がやりづらいというか、常識的に憚れます。私の家の近所には桜の名所があり、いま最高の咲き具合です。いつもどおりなら、子供連れのお母さんたちがシートを広げてお弁当を食べていたり、近所のおっさん同士が折り畳みの椅子を広げてカップ大関で乾杯していたりするんですが、今年は人がいません。桜だけがひたすら咲いています。

 

不思議なもので、誰も注目しない桜こそ、かえって綺麗に映えるような気がする。私は桜並木みたいなのが、どっちかというとあんまり好きじゃないんですね。いかにも、綺麗でしょう、素晴らしいでしょうという感覚を押し付けられている気がしてくる。だから、桜の名所というのもそこまで興味が無くて、むしろ公園の隅にポツンと咲いている桜とか、そういうのに惹かれるんですね。

 

正直に言うと、私は自分ひとりだけトクするのが好きな人間なのだと思います(笑)。自分だけがこれを知っていて、これを堪能できる。そう感じられると幸せなんです。だから有名な観光地みたいに、誰もが知っていて、誰もが同じように楽しめたり感動したりするものに、さほど興味が湧かないのだと思います。

 

だけど、今年はやたらに桜並木の写真を撮っています。これもつまり、自分だけがこの桜並木を独占してるぜ、みたいに悦に入ってるんでしょう。ロクな人間じゃないですな(笑)。だけど、普段なら人でごった返す桜が誰の目にもつかずにほったらかしになっているのは、なかなか神妙な光景で、つい撮りたくなります。

 

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あと、これは今年に限らないのですが、桜を見にいきたくなると、私はよくお墓に出かけていきます。お前は鬼太郎かと言われそうですが、妖怪の運動会に用はありません。普通に桜を愛でに行くのです。お墓に咲いている桜は品のいいものが多くて好きです。こじんまりとして品よくおさまった桜が、並木みたいに密集しているわけじゃなく、墓地のところどころに点々としている感じなのがいいですね

 

墓地といっても、どこの墓地もそうなっているわけじゃない。新しい墓地は普通の公園みたいな感じで、そこに植えられている桜もただ行儀よく並んでいるだけです。だけど、数百年以上の歴史のある墓地だと、幹が妙にくねくねした怪しげな桜が映えていて、その根元を見ると、倒れたまんまの墓石の割れ目から生えていたりとか(笑)。

 

桜はけっこうオカルトめいたところがありますよね。桜の前で写真を撮ると真ん中の人間が死ぬとかいいますし。別に怪奇現象なんぞに興味があるのではなく、要は、媚びてない桜が好きなんです。「ここに桜を植えたらみんなきっと喜ぶぞ~」と思って植えられたものには惹かれず、自然と生えているものとか、人を幸せにするために植えたものではないもの(?)、そういうのが好きです。

 

こういうめんどくさい感覚が参考になるとはあんまり思いませんが、墓地が散歩やお花見の穴場だというのは胸を張って言えます。小池百合子都知事が「密です」とさかんに仰っていますが、人の集団や密室をさけて出かけるのに、墓地は向いています。お墓参りのついでに、ひっそりと、墓地を練り歩いてみるのもいいもんですよ。