口から出まかせ日記【表】

酢の物が美味しい時期になりまして。

桜の社交性。

 

こらへんの桜の名所も繁盛してるようですが、この時期はあんまり近づきたくないのです。なぜならカネを取られるから。地元にある桜の名所のそばにある、駐車場というかただの空き地に停めると、なんやら原色のウィンドブレーカーを着た人が来て、協賛金兼駐車代金として五百円出せなどというのです。桜が咲いた途端これだ。さらにお花見会場に入れば、なんちゃらラーメン、なんとかバーガー。あと牛肉を串に刺したのが五百円で売ってる。


何から何まで五百円単位で人から毟り取る魂胆しかない。花より五百円くださいの精神。これにもうすっかり呆れ果ててしまいましたので名所には行かん。んじゃ、引きこもってインターネットでもやってんのかと言えば、逆。休日はガンガン外に出ております。そこらで買ったおにぎりを食べながら、名所でもない閑散としたところで花を愛でたりしている。


てことで、自分なりにお花見はしてるんですが、夕方のニュースで各地の名所が映り、そこで浮かれてる人を見ると、お、ええ感じやんけ〜、と思うのも確か。浮世めいたその雰囲気に溶け込んで、一体感的な幸福を感じることこそ、お花見の真髄なのではないか。なんて思うと、協賛金兼駐車場代五百円ぐらいなんだってんだ。ちょいと今週末は名所に行ってみようじゃないかという気分になり、週間天気を眺めたりしてます。
 

 

 

ところで、名所で咲き誇る桜も、そのへんのなんでもないところで咲いている桜も、じっくりそばに近づいて眺める分には差なんて分かりません。それこそソメイヨシノは、全て同じ遺伝子のクローンです。桜の花そのものが目的なら、ちょっと近所の散歩のついでにでも眺めれば十分なはずなのに、桜のシーズンとなると、なんでか、ちゃんとお花見らしいことをしないといけないような圧というか焦りが、どこからともなく現れる。


それは、「桜の社交性が高い」からこそなんだろうと思うんです。社交性っていうと普通、人間に当てはめる言葉ですけど、社交性は動物にも普通にあるし、なんなら植物にも十分にあるはずです。咲き誇ることで、桜はたくさんの人を惹きつけてその根元に集める。この能力はまさに「社交性」じゃないでしょうか。そんな、社交能力の異様に高い桜が、今の時期に全力を出して、そこら中で私たちを誘惑してくる。


そりゃ、人間狂います。しかも、開花から散るまで2週間足らずの短期間に、今シーズンにおける桜との「社交」をちゃんとやりたいという望みが多くの人にあるのです。とはいえ、桜と出会える場所やシチュエーションは数多あり、想像すればするほど、どれもが魅力ある理想の「社交」に思えてくる。で、そのうち脳が花びらで満ちてパンクするのです。今の時期の、桜に対する個人の逡巡みたいなのはこれ、どうしようもないんじゃないでしょうか。それだけ、桜とどう社交するかという命題が、日本人に与えてきた影響は想像以上に強いのだと想像しておきましょう。

 

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WEB同人誌「写真と文」の方にも記事を投稿しています。今回の内容は、私も含めた同人誌の編集メンバー二人で、私の地元をぶらぶら歩いたことを書いてます。よろしければ。