習慣を売るヒト買うヒト。

会社の昼休みと退社後に、本屋に寄って読書するのが日課になっています。テキトーに目についた本をただめくっているだけではまとまった読書にならないので、なるべく同じ本を手に取り、続きから読んでいきます。なんかしらんけどめっちゃ読書が捗ります。家にも本が積んでありますが、そっちは全然読破できないでいるのに、会社に戻る時間なんかを頭の隅に入れつつ立ち読みをすると、これがすんなり捗る。これはなにか重要な示唆があるんじゃないかと思わずにはいられない。


ああ、最近はマルクス・ガブリエルさんというドイツ出身の哲学者の人にハマりつつあります。私とそこまで年の変わらない方で、思想的にはあの『サピエンス全史』などを書いたユヴァル・ノア・ハラリとガチで対立しているようです。この人の本を三冊ぐらい本屋で読み切り、何か悪いなと思って一冊は買いました。

マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するII: 自由と闘争のパラドックスを越えて (NHK出版新書)

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さて話を変えると、いつもお世話になってる本屋の一角に、自己啓発本なんかを集めた意識の高いコーナーがあり、GACKTがドヤ顔でこっち見てる本なんかが並んでます。なんかオーラが違うので、なるべく近寄らないようにしてますが、たまにおずおずと近づいてみてみると、気付くことがあります。そこに置いてある本の半分くらいは、生活習慣について書かれた本なんですよね。


「幸運をつかむ○○の習慣」みたいなのがずらっと並んでいて、隣同士でバチバチと火花を散らしてる感じ。表紙にはなんとなく見たことのあるいつもの顔が並んでいる。うーむ、なんて香ばしいんだと思わざるを得ないですが、そのコーナーで普段、読んでる人も手に取る人も見かけたことがありません。需要があるから並べられているんでしょうが、どうも、その本屋ではそのあたりの実態が分からないのですよ。

　

それと前からですが、こういう感じで個人の生活習慣を宣伝して売ること自体に、なんかこう、うまく言えないですがモヤモヤした感じがします。つまり、「私の成功の秘訣は生活習慣に在り！！」と自信をもっているからこそ、習慣を宣伝できるわけですよね。ただ私からするば、「それは貴方がまず成功したから、後追いで習慣を評価できるんですよね？」と突っ込みたくなる。


往々にして、なにかしら成功したという結果を担保にすれば、今までどんな本を読んだとか、どんなものを食べたとか、些細なことまで宣伝の材料にできますし、実際そうです。で、それが案外売れたりするのは、買う側が成功者の因果関係に興味を持っているからでしょう。自分もまた成功者の性質の一部でも取り込めれば、成功のおこぼれにあずかれるんじゃないか。せいぜいそんなとこじゃないでしょうか。


ただ、人の因果関係って習慣だけでどうにかなるものではないですよね。どこで生まれたのか。どんな容姿をしているか。どんな人と出会ったか。なにが得意で何が苦手か。影響を及ぼす因果は無数にある。なので、自分と異なる才能や境遇である人の生活習慣を取り入れたところで、うまく利益を享受できるかどうかは分からない。「それが分からないから取り入れるんでしょ」と突っ込まれたら、「あ、そっすね」としか言えないですが。


個人的には、馴染む習慣を自分で作るに越したことはないと思うのです。それには、それなりの時間をかけて、自分の体力の許容範囲とか、こういう場合はこうすると安らげるとか、そういう些細な気付きを経験則として積み上げていくしかないという、ありきたりな結論になりますか。でも、もし貴方が社会的に成功したとしたら、そんなありきたりな習慣であってもドヤ顔の表紙付きできっと売れますよね(´∀｀)

【平沢進】世界タービン（歌詞付き）PV

私の習慣は平沢です。