口から出まかせ日記【表】

GWで浪費すると母の日にツケが回る。

時間に勝ちたい。

(今年の3月ごろに一度投稿したものです。この時期は、けっこう周りの人間にも動きがあった時期でした。なにか別の方向性を探るような、そんな気配が漂っていました)

 

★★★

 

数日前、久しぶりに仙台に行って、大学の頃からの友人に会ってきた。大学を卒業してちょうど10年くらいたつけれど、みんなまったくといって印象が変わらない。時間が停止しているかのようだ。私たちは、ほんとうに大学を卒業したんだろうか。なんだか不安になってくる。なにか、大事なことを卒業していないので、私たちだけ時間が進んでいないんじゃないかという気がしてくる。

 

でも、しばらくぶりに話せば、年月というのは証明される。追い詰められないほどに不愉快で、不安で、釈然としないままに続く日常に、ときおり星のような楽しい記憶が点滅している。みんな、似たような感じの日々を送ってきたらしい。

 

ひとり、来月から地元を離れて関東の方に行く友人がいたが、行った先で仕事はもう決まっているらしい。仕事から仕事へと移るための転居。本人は東京に近くなるので喜んでいる様子だったけど、わたしから見ると手綱を握られているような、無力な感じがした。と同時に、自分たちが若いままである理由も合点した気がした。

 

美味しいと評判の牛タン屋でたらふく食ってワインをあおり、二軒目でウォッカトニックとチーズケーキを喰らい、また会うことを約束して、解散となった。ひとりになると、意識が醒めて、湿った肌寒い空気にまとわりつかれた。

 

ホテルに戻りながら、すでに自分の生活の主軸は、さっきみたいな楽しみではないんだなと思う。単発的なイベントに自分の喜びを託すことに飽きている。それより、なにか生活を自分で作り上げて、そこに根付くことを欲しているのだと思う。

 

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これまでの仕事ではそういうことはできなかった。自分の希望とか能力は、仕事の範疇から出ることを許されず、現実的に、その程度のものでしかなかった。ものすごく柔らかい癖に、恐ろしいほど頑丈な何かに吸収されて、残った出し殻みたいな自由時間で、こそこそと遊んでいただけの日々が過ぎていった。

 

嫌になったというより、根本に暴力的な不穏を感じたので無職になったのだが、時間というのは怖ろしいものだ。働いていた頃よりも加速し、過ぎていく。社会的な役目がないとみるや、時間はこちらを早死にさせようとする。私は毎日、時間に暴力を振るわれている。好きなことを好きなだけやれば、結果的にそれだけ早く死ぬというのは逃れられない摂理なのだろうか。

 

時間に勝つ方法を探している。どうやったら勝てるだろう。楽しいだけでは時間に殺されてしまう。今の世の中、手軽で楽しいことが多すぎる。暴力的なほどに。世間の人は気づいているのだろうか。楽しみに殴られることに慣れ過ぎて、麻痺しているんじゃないだろうか。

 

楽しみを自分でつくらなければと思う。そして、自分を守らなければ。文章を書くことは、時間に勝つ近道のような気がしている。具体的にどうすればいいか分からない。が、こうして文章を書いていると、時間は早く過ぎるけれど、その時間は(という言い方は変だけど)、時間を振り切っている。

 

時間を無視するほどの何かで時間を振り切る。これしか時間に勝つ方法はないと思う。将来、人間の寿命が何十年も伸びることになったとしても、そんなのは地球と同じ寿命を持つ時間の前では大したことではない。今の私みたいに、人間はずっと悩み続けるのだろう。