口から出まかせ日記【表】

GWで浪費すると母の日にツケが回る。

趣味を手放す人の謎。

このところ天気が悪く家で過ごすことが多いですが、なんとなく体の調子が悪い。日を浴びてないなぁって感じがする。それで、本来なら、今日はバイクでツーリングに行こうかと思っていたんです。昨日の時点では天気予報も晴れでした。

 

ところが、今日になったら曇り空。雨もパラパラ降っています。駄目ですね。諦めます。明日こそは天気が回復して暑くなるみたいです。バイクにまたがれば、それはもう、嫌になるぐらい日を浴びれるぞ。

 

7月になったんだし、海の方へちょっと行ってこようかと。潮風を浴び、ぼったくりのような価格設定の海鮮丼を食らい、外国人観光客にナンパをして、温泉に入って帰ってくると。そのような、完ぺきなプランを練っているのです。オラ、わくわくすっぞ。

 

……で、今回はそんな流れで趣味の話というか、素敵な趣味を持っていたのに、それを手放した人の話をしようかと思います。私の周りの人たちを見ていて、ある時点から、それまで熱心に取り組んでいたはずの趣味を手放してしまう人がけっこういて、気になっているんです。

 

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私の母親は若い時から生け花をやっていて、週に一度は生け花教室に行っていました。ところが10年ほど前にぱったりと止めてしまいました。生け花はお金がかかる趣味であり、経済的な面からかもしれませんが、理由はよくわかりません。

 

父親も若い時はアウトドアにハマっており、休みさえあればキャンプにいったりして、なかなかアクティブな感じだったのが、今やアウトドアの片鱗も感じさせず、深海魚のような沈鬱さでスマホをいじってばかりいます。

 

私の友人たちも、多彩な趣味を持っていました。寺社仏閣巡り。珍しい外国語の勉強。ナンパ術。オリジナルのカクテルづくり。ガンプラ。動物の鳴きまね。少林寺拳法。茶道。占星術などなど。趣味らしい趣味があんまりなかった私からすると、眩しく映ることもありました。

 

ところが、しばらくぶりに会ってみると、あれだけのめり込んでいた趣味をすっかり手放している事が多い。「今はなんかハマってるものある?」と聞いてみても、「ないよそんなの」と素っ気ない言葉が返ってくるばかり。

 

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珍しい楽器を集めるのが趣味で、口琴(こうきん)といって、口にくわえた状態で弦を鳴らす楽器を、かつて得意そうに披露してくれた友人も、今やもう楽器のほとんどを処分してしまっている。「なんでそんなことになったのよ」と聞いてみても、「いや、別に」みたいな微妙な返事。それどころか、「実は、俺あんまり楽器とか好きじゃなかったんだ」などと、驚くべきことを言うのです。

 

意味が分からないので、「いやいや、昔、楽器を鳴らしてた時は楽しそうにしてたじゃないの。あれは無理してたってことかい」と畳みかけると、「あの時は楽しかったけど」と言う。「じゃあ、今はどうなんだ」「今は別人のようだね」「なんでそうなっちゃったんだ」「俺にはわかんない」

 

それから沈鬱がしばらく続いた後、「ほっしー(私のあだ名)は趣味があっていいよなぁ。俺もバイク乗りてぇよ」などと呟くのです。かつて素敵な演奏を聴かせてくれて、私にはキラキラと輝いているように見えた男が、そんな哀しいことを口にするようになってしまった。

 

趣味を手放す理由は人それぞれあるだろうから、一概になにが理由だとは言えないでしょう。だけど、ある時点から、「自分の特性を失ってしまう」可能性があるのではないかと感じます。その時というのが、人ぞれぞれに設定されており、そこを通過したとたん、自分がリセットされてしまう。

 

そして、かつて何かに注がれていた熱量も、一気にゼロへと向かってしまう。そんな不可逆的な力が、人生の途中で必然的にあるとしたら、恐ろしいことです。そこを通過した本人が案外ケロッとしているのも、私から見るとなお、恐ろしい。

 

趣味は何ですか? (角川文庫)

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