私は誰かのブログを読むと、だいたいいつもイエロースターを三つ投入する。スターひとつだと寂しいし、二つだと中途半端。三つならちょうどいい感じがして、それがすっかり習慣化した。気分次第では四つとか五つくらい投入する。それは、特にブログの内容が心に響いたり、ブログ主を応援したいという気持ちからだ。
ブログ開始から半年以上経ち、スターを押すのにすっかり慣れたせいか、イエロースターを三つ投入したつもりが、思いがけず五つか六つくらい投入していたりなど、ざらにあるようになった。これはなにを意味するのか。つまりこれは、はてなスターを押す行為によって、「はてな筋」が鍛えられたと解釈している。
「はてな筋」とは右手の人差し指の先端にある筋肉の事である。半年以上はてブにて、ブログを書いたり評価する行為を続けたことにより、いつのまにやらここの筋肉が鍛え上げられていたらしい。そして、この部分を鍛えることで得られる特性とはすなわち、凄まじいまでの「クリック力」である。
はてなブログを始めたころは、どこもかしこも恐ろしく感じた。他人のブログにスターを押すときも、おっかなびっくりマウスをクリックしていた。ひとつひとつ、画面上にスターが表示されるのを確認しつつ、「ああッ……」などと情けない声を出しながら、それはそれは慎重に事を行っていたのである。
ところが今や、傲岸不遜といえるほど、スターを押す速度は凶悪なものと化している。はてなスターを三つ投入するのにかかる時間は一秒以下である。だいたい一個あたり、0.0001秒くらいだろう（適当）。こんなに速くなってしまって、私はいったいどうしたらいいのかわからない。
観察力がある人は気づいていると思うが、はてなスターのボタンを押してから、画面に反映されるまでにタイムラグがある。一度、星の形をした輪郭が現れてから、自分の押したスターが表示されるようになっている。
反映される間隔も、約一秒くらいだと思うが、私のクリック力は、はてなの反映プログラムを凌駕しており、瞬時に星の輪郭が5つも6つも投入される。意識的にブレーキをかけるまでにそこまで押してしまうのだ。このままだと、はてな筋のさらなる強化と共に、はてなスターの過剰供給は進むだろう。私はいったいどうしたらいいのかわからない。
はてなスターは良いシステムだと思う。いい塩梅の評価システムだ。コメントするほどめんどくさくなく、「いいね！」評価よりも表情を付けやすい。星の色や、星の数で、自分なりにアレンジを施すことができる。私がはてブでブログを書き続けられるのも、はてなスターのシステムによるところが大きい。
だからこそ、ほどほどが大事だ。ひとりの人から100個もイエロースターを貰ったらどう感じるだろう。愛の告白か嫌がらせのどちらかだと思うだろう。なんであっても過剰供給というのは、その人に多大なストレスを与える。はてブでブログを続けるなら、自分がスターを貰うことだけでなく、スターをあげたことで相手がどう思うかも考えなくてはいけない。とはいえ、あんまり深刻に考えなくても、大体の人はうまくやっていると思う。
訳が分からなくなってきたのでもう終わりにするが、上述した事から、なんとか「はてな筋」を制御して、スターの供給過剰に陥らないようにしたいと思う。このままだと来年の今頃には、瞬時に50個ぐらいの星が並ぶほどの有様になっているかもしれない。人差し指の筋力が強くなりすぎれば、クリックするたびマウスやスマホを破壊したり、自販機のスイッチを陥没させたりするだろう。そうなったら、私はいったいどうしたらいいのか分からない。その力を就職に生かせないだろうか。
