口から出まかせ日記【表】

GWで浪費すると母の日にツケが回る。

災害の備えは楽しい。

風に備えて、朝からいろいろやっている。物干し竿なんか、飛んでどこかの窓ガラスに突き刺さったりすると怖いので家の中にしまい、自転車は縄でくくった。あと花壇のレンガとか、とにかく飛びそうなのは家の中に入れた。

 

周りを観察すると、近所中で同じようなことをしているのが分かった。スコップやらシャベルやらマウンテンバイクやら植木鉢やら、そういったものをどんどん家の中にしまっている。あと、物置小屋にぐるぐる縄を巻き付けている家もある。小屋ごと飛んでいく想定をしているのだろう。

 

スーパーに行ったら、食料品がいつもより全然無い。特にパンが全然見当たらないのが驚異的だ。冷凍食品やカップ麺も飛ぶように売れている。なぜか酒も売れている。でかいブラックニッカのボトルをカートに山ほど積んで、おじさんがレジへ駆けこんでいる。かえって野菜とか肉などはいつもより品ぞろえが多いくらい。調理をしないで食べれるものを、みんな買い込んでいるわけだ。

 

そこで感じた雰囲気としては、みんな楽しそうな感じだ。普段よりお客さんも店員さんも生き生きしている。そのへんではおばさんたちがしきりに会話していて、台風に備えて自分がやったことをぺちゃくちゃ話している。

 

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水をタンクに用意した。風呂に水を張った。カセットボンベとか缶詰をいっぱい用意した。旦那が盆栽の植木鉢を全部家の中に入れた。念のため町内会の集会所に行って掃除をしてきた、などなど、祭りの準備でもしているように興奮気味に話している。連れられてきた孫も、いつもの雰囲気とは違うのを感じ取ったらしく、飛び跳ねている。

 

不謹慎とはいえない。正直言って、私も楽しいからだ。朝から外に出て、自転車を縄でくくったり、飛んでいきそうなものをゴミ袋に放り込んで家の中にしまいこむのが、妙に楽しい。わくわくする。台風の情景を想像豊かにイメージして、それに合わせて具体的な対策を、思い付きで次々と行うのが楽しい。

 

この楽しさはなんだろう。こちらへ害を与えるかもしれない存在への抵抗感が、楽しさを生み出すのだろうか。もしかしたらこの楽しさは、馴染み深い感覚なのかもしれない。常に自然が驚異となりえた時代の人間が持つメンタリティが、鎮静から体を起こしたようなものかもしれない。同様の感覚を、東日本大震災で被災した時も感じている。あの時も不謹慎かもしれないが、正直いって楽しかった。

 

外は一時期、すごい雨が降っていたのが、今は止んで妙な静けさがある。NHKの台風情報を眺めながら、コーヒーを飲んだり、チョコレートを食べたりしつつ、(窓枠に詰め物をしておいた方がいいかな……)などと、次にやることを考えている。楽しい。明日、私たちはどうなっているのだろうか。