口から出まかせ日記【表】

GWで浪費すると母の日にツケが回る。

ときどき得体の知れない違和感を感じる。

は霊感がほぼ無い人間だと思っている。親族の間で、霊感の強い人がうようよいるというのに、なぜか能力を引き継がなかった。死んだ祖母の霊感は凄まじく、夜中に親戚の誰かが亡くなった夢を見たので、心配になって電話を掛けると、「ちょうど朝方逝ったばかりで、今そっちに電話するところだった」と言われたり、なんてことがざらにあった。

 

母親も霊感が強い方だと思うけど、その本人が言うには、「霊感が強いのではなく、霊感が強い人がいると、その影響を受ける体質」らしい。例えば、祖母が見た夢を、母親も全く同じように見ることもあったそうだ。そういう時はだいたい悪夢らしい。朝起きてから夢の話を祖母とすると、まるっきり内容が一致するという。

 

まわりにいる霊感のある人たちを見ていると、どうやら自分で感じた霊感を、他の人間にも送信する能力があるようだ。つまり、データの同期と同じで、他の人間にも同じ情報を共有させる力があるらしい。そして、霊感の強い人が「送信側」になり、弱い人が「受信側」となる。私の母親は「受信側」になってしまい、色々と面倒なことが多かったようだ。

 

霊感の世界にも序列があって大変だ。霊感なんて無くてよかったと本気で思う。稲川淳二みたいに、「やだな~、こわいな~」「こいつ……この世のものじゃない……」「冷や汗がファ~っとふきだしてきたんです……」などと言わずに済んでいるので助かる。ただ、時々、もしかしたらこれはちょっとした霊感なのかなと、自分で思うことがあったりもするので、よく分からない……。

 

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ある場所で、唐突に変な違和感がある。友達のアパートの部屋に初めて入ったとき、何の変哲もないちょっと散らかった男の部屋という印象で、日当たりもいいし悪くない部屋なのに、(なにか違う……)という疑問のようなものを感じたことがある。その「なにか」というのが自分でもはっきりしない。「この部屋なんか変?」と、勘づいた友達が聞いてきたけれど、「いやぁ別に~」としか言えない。

 

あとは、路地を歩いていて、あるところに空き地があって、そこで、(え……?)と、まったく予期しない感じで違和感があることもある。でも、その感覚の原因がつかめない。自分の家のお墓がある霊園の途中の細い道をのぼっている時、その脇にある竹林を眺めた時にも、同様の違和感があったことがあって、通り過ぎてからも、なにがそんなに気になったのか考えてみるのだけど、何故なのか分からない。

 

その違和感のあった場所から離れると、気分的にはホッとしている。だから、その違和感の正体は「緊張感」に近いものなのは分かるけれど、いったい何に対して唐突に緊張したのか、分からない。

 

一度だけ、自分の違和感と、霊感の強い人の感覚がリンクしたことがある。友達3人と温泉に行って、温泉街をぶらぶらしていた。途中で二手に分かれて、私は霊感の強い友達と一緒に歩いていた。そのうち、道の両脇に廃業した旅館が並ぶ所に来たときに、例の違和感がやってきた。

 

すると、隣の友達も、「あー、いま見られてる」と唐突に言った。この友達の言っているのは、もちろん霊的なことを意味する。「どこから」と聞くと、「あのあたり」と、左側の旅館の三階あたりの窓を指さした。私にはなんにも見えなかった。

 

「早くいこう」と友達が言うのでとっととその場を離れた。「俺もなんか変な感じしたよ」と言ったけど、友達はそれに答えないで、「さっきの人ね、たぶんすごく怒ってる。あそこから出られないんでしょ」と言ったのを、違和感を感じるたびに思い出す。