口から出まかせ日記【表】

GWで浪費すると母の日にツケが回る。

日本酒から強い言葉を学ぶ。

 

十代の初めの頃は、とにかく酔えればなんでもええんじゃあというスタイルで、安酒をがぶ飲みして酩酊し虚空に漂うみたいな付き合い方をしていたのが、ある日、美味しい日本酒を飲んだことで価値観が一転、お酒を見る目が変わって尊崇の対象となり、質がいいお酒を選んで買ってちびちび飲むようになったというエピソードは散々書いてきましたので、助さん格さん、もういいでしょう。興味のある方は下の記事など読んで頂ければと思います。

star-watch0705.hatenablog.com

 
さて。何がさてなのか知りませんが笑、自分はお酒コーナーを覗くのも好きで、仕事の帰りに寄っていきます。棚に並べられている酒瓶のラベルとか、飾り箱(高い日本酒が入ってる箱)に書かれている、いろんな宣伝文句を眺めるのは至福です。眺めているだけで満足してしまって、何も買わずに帰る日もあります。


お酒の宣伝文句というと、特に日本酒だと原料になっている「水」に関するのはけっこう多いかもしれません。お酒のラベル上だったり、そのお酒を造ってる酒蔵のウェブサイトなんかを眺めると、それぞれのところで独特な表現がされてます。で、もちろんお酒を造るのに綺麗な水は欠かせないけれど、「綺麗な水を使って作ってます!!」みたいに単純過ぎる表現はあんまり見かけず、酒造りに使っている「綺麗な水」が、そもそもどんな由来をもっていて、お酒を造るのに適した水なのかを、あまり長くない言葉で丁寧に表現している場合が多いです。


例えば、「○○山の麓から流れ出る良質な伏流水を使い……」とか、「古来より湧出する清らかな地下水を汲み上げ……」とか、そんな感じ。ひしひしと言葉の力を感じませんか。伏流水とかもう、それ聞いただけで実に美味そうな笑。さらに言うと、これらは別に誇張表現でもなく、ただ事実を淡々と述べているに過ぎないんですよね。

 

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あと、お酒の製造過程を宣伝文句にしてるのも多いです。「一回火入れ」「山廃仕込み」「搾りたて生原酒」とか、いろいろラベルに書いてあり、日本酒詳しくない人は「いっこも分からん」ってなると思いますが、これらはすべて、日本酒の製造過程に関わる専門的な用語です。本来的には宣伝というより、どういう工程で作られたのか正確に示すために付けられているんですが、搾りたて生原酒だとか、無意識のうちによだれが静かに垂れてきそうなパワーワードっぷり。それを見越してけっこう凝ったフォントでデザインされてたりします。


お酒を表現する言葉を眺めていると、本当に強い言葉とはなにか、その強い言葉に遜色ない商品とはなんなのか、みたいな事をつい考えたりします。お酒って間違いなく歴史的に強い商品だし、水は遥かその上に位置するし、さらにはお米やブドウなど、ある地域だったり、国そのものを象徴するほどの強い商品を投入して作るわけで、そう考えると、お酒に勝てる商品はこの世にそんなにないんじゃないかと思います。


それほどアイコンとして強いにもかかわらず、お酒に付く宣伝文句は、どちらかというと誇張よりも正確性が優先されます。何故なのか考えてみると、お酒の価値観は浸透しているし、美味いと感じることも根付ききっているからじゃないかと。伝統的に美味いのは誰しも認めているとなれば、あとはその美味いお酒のルーツとなり得るものを丁寧に伝えることで、十分にその価値を維持する強い言葉になるんじゃないでしょうか。逆に言えば、ルーツも無いのにただ美味いものは皆怪しがる、ということかもしれない。


で、こんなことを考えはじめると、自分はすぐ「ブログに生かせないかなぁ」なんて考えがちですが、ブログを書いてるひとりの人間が商品として完全になるなんてまずあり得ません。だいたい、私の由来なんか明記したところでなんのプレミアもつきませんよ。「生まれながらに末端冷え性」「元サッカー部(一年で退部)」「小学三年生の時に県の俳句コンクールで入賞」……だからなんだみたいなただの弱小ワード用語集でございます。とほほ。

 

※いつも最後にテキトーにYouTubeの動画を貼るのが恒例になってるんですが、サイドバーからYoutube貼り付けをしようとしても、そもそもサーチが無効になってるらしく動画一覧が出てこない。どういうことでしょう。謎。