このまえ、地元の美術館でやってた企画展をちょっくら観てきました。
大阪市立美術館に所蔵されている美術品の一部を展示する企画展なのですが、その大阪市立美術館、改修工事のため2025年まで閉鎖してるそうなんですね。そのあいだ収蔵品を眠らせておくのは勿体無いので、全国の美術館を順番に巡って企画展を開催していると。事情のよく分かる話です。
開催してる福島県立美術館の入り口。なんか突き出てる。
私の地元では盛んにこれのCMもやっているので、絶対混むと予想して朝イチで行ってみたところ、意外と人がいなかったという笑。まあ、時間が経つにつれて混雑してきたんですが、その時にはだいぶ見て回った後なので、さほど影響も無く。これが先行者優位ってやつよ。
で、観た感想ですが、学校、会社、そんなのはこの際休んでOK牧場。子供を実家に押し付けてでも観に行く価値はあるかなと思いました。私の隣にいたおっさんなんか、「いやいや、どれも見事だなぁ。もう死んでもいい気分だ」とか呑気なことをブツブツ呟いてましたが、気持ちは分かる。最期にこれ観れたら極楽浄土だな、みたいなのがいくつかあった。
動物好きな人もおすすめです。犬にたぬきにキツネにネズミ、インコにキジに鶴にカニと、「絵画動物園」といってもいいぐらい動物に会えますよ。橋本関雪の『唐犬』や、森徹山の『寒中狸図』など、動物の毛がモッフモフに描かれていて、観てるだけで幸せになれる。あと、太っ腹なのは館内撮影OKなとこ。とはいえ、堂々と撮るのは憚れる雰囲気だったので、コソコソ撮るのが精一杯でした笑
南北朝時代の箱。画像ではピンとこないかもですが見惚れるほどオシャレ。
とりあえずぜんぶ観て回り、それから最初に戻ってもういちど観ました。今回に限らず、美術館とか博物館の企画展ではだいたいそうしてます。入場料を払ってんだから元を取りたいっていう根性もあるんですが、いったん全部に目を通してからの鑑賞の方が、むしろ「本番」だと思うからです。
そもそも最初の鑑賞ってあんまり自由を感じなくないですか。展示会を企画した人たちの思惑にそのまま乗せられるしかない感じがする。で、ともかく展示品を順番通りに観ていくと、ピンとくるものもあれば、しっくり来ないものもある。そうして全てを見通したとき、自分の中に「お気に入りリスト」が作られている。
そう、2周目はこのリストに従って鑑賞できるので、ようやく自由になった気分になるんですよ。結局、1周目の鑑賞は楽しいというより「観なければ」という義務感が強く、全てを見通した上で自分の好きな展示品を選抜することで、ようやく解放され、肩の荷が降りる感じがする。面倒な奴ですが、そういう工程を経ないと、そもそも私は物事を器用に受け入れられない人間なのだと思います。
そんなこんなで2周目の鑑賞をするんですが、これがなかなかズルいことしてるみたいで気分いいですよ笑。他の人は長い列を作ってノロノロと鑑賞するなか、私は自分が気に入ったものへ次々に飛び回るようにして、軽快に眺めることができる。これを体験しないで帰るのは勿体無い。
「美術館であった人だろ」なんて言われたこと無い